20130612

「沖縄県内移住者に関する基礎調査報告書」を参考に沖縄移住者の特性を理解する。

内閣府・沖縄総合事務局が面白い報告書を出していたので、読んでみた。
www.ogb.go.jp/sinkou/shinki/ijuusya_kisotyousa1.pdf 

長いので、内容をまとめてみました。これから移住される人、島ナイチャーは参考にしてください。笑

前提条件は、平成18年3月時点での報告書だから、7年ほど前の話。
東北大震災以降の、沖繩移住の動向は激変したと思うのでご注意ください。

はじめに

団塊の世代(1947年~49年生まれ)が2007年度から定年 退職が始まることから、暖かい沖縄への永住や短期滞在者がますます増加することが予想されている。
1要約部分
 移住者の現女把握
沖縄県では、バブル期の転出超過から、その後のバブル崩壊により転出が減少し たため転入超過へと転じた。98年以降は、転入超過が続いている。 最近の沖縄県への転入者は、毎年2万5千人程度で推移。
那覇市、石垣市、竹富町への転入者数が多い。中でも、竹富町は、沖縄県内では第一位となっている。 (近3年間の竹富町における転入者数は年間約250人~380人くらい、転出者数は約150人~170人くらいで推移しているため、転入超過数は年間100 人台である。国勢調査によれば、本町は人口増加率(2005 年/2000 年)は18%で全 国第4位、県内では第1位となっている。)
移住場所は、都市部と農村部に二極化する傾向にある。 都市部には、生活や交通の利便性(特に高齢者は医療施設やモノレール等の公共交通機関)を求め、一方の 農村部には、南部・北部地域や離島地域の海が近く風光明媚な土地で農業やスロー ライフを求めて移住する者が多くなっている。
2 関係者(沖縄移住者)からの聞き取り調査

(1)沖縄移住した理由 ・「自然の美しさ」が圧倒的に多い。「海」の憧れとの思いが強い。「暖かい気候」と「ゆったりした空間」でのんびりした生活を求めている。「癒し」「健康」のイメー ジが強く「療養」目的の人も多い。
(2)移住後のメリット、デメリット(住んでみてよかったこと、よくなかったこと)
・「メリット」自然環境に満足。スギ花粉症、ストレス等を抱える人には、温暖な気候 とウチナータイムに適している。空のアクセスが便利。
・「デメリット」方言がわからない。沖縄風習への戸惑い。人間関係のトラブル。
(3)地域との関わり方(文化・伝統行事やボランティア活動への参加状況)
・地域行事に参加し、地域にとって中心的な存在となっている移住者が増えている。 また地域文化を理解するため、各種講座を受講する移住者がいたり、海浜の清掃、 自然環境の保護、啓蒙活動に取組んだり、地域に溶け込み自宅を開放し交流を楽し む移住者がいる。
・一方では、地域と一切付き合いはなく地元住民と対立(苦情等)している移住者も いる。移住者同士、県外の仲間だけのネットワークで生活している場合もある。
(4)地域に与える影響 ・離島は若者の人手が少ないため、リゾートバイト(ホテル、ダイビングショップ民
宿の従業員等)をしてくれる県外移住者がいなければ離島の観光業界は成り立たな い。また、移住者は視点が違うため、地元の人が気付かないことに着目し商品化す ることに長けている。
  ・地元のしがらみが少ないため、役員や自治会長等の中心的な役割を担っている。
  ・県外での経験があるため、意見や感想は地元にとって参考になる。
  ・神聖で立入禁止の場所に立ち入り写真等を撮り、地元から反発を受ける。
(5)移住者からの問い合わせ、要望等(不平、不満、不便なこと) ・移住に関する問い合わせは住宅・就職の件が最も多い。また、プライバシーの侵害、 業者に迷惑となる場合もある。住居も仕事も何もかも探してくれると考えている人
もいる。田舎の地域では、交通アクセスに対する不満が多い。
・移住者は、自然を大切に思う気持ちが強いため、地元住民に対して自然保護に関心
   を示してほしいと考えている。
(6)行政への要望
・各市町村は、移住者に対する相談、受付窓口というものは設けていないため、移住 者に関する正確な数字は把握していない。行政として、移住者の実態を把握しなければいけない。
(7)地元受入側の心構えや要望 ・地元は、移住者をよそ者として差別をしないこと。移住者には、地域の風習を理解
   し、地域と協力してもらいたい。
・移住者受入担当者としては、沖縄の良い面も悪い面も、全て正確な情報として届け るよう努力している。
・高齢になると介護保険、老人医療、病院代もかかるため、若い時期に移住していた だき地域に貢献することを望む。
・名桜大学は移住者向けの講座開設を提案中。将来は、移住者が講師となり地域住民 や大学生との交流を設けることを検討している。
今後、移住を予定している人達へのアドバイス
・沖縄に対する過度な期待は捨てること、うちなんちゅは人情豊かだと期待しないこと、いつまでも観光客気分ではいけない、移住に大事なことは「計画性」、沖縄の良 いことも悪いことも知ったうえで移住すること、職探しは難しいため目標を持って 移住すること、島の人が気付かないことや移住者だからこそ理解できることを意識 して仕事をすれば移住は成功する、地元と関わりをもって生活してほしい、移住者 間だけのネットワークではなく積極的に地元に馴染んでほしい、都会での常識と肩 書きは捨てること、地域の習慣を理解することが重要、沖縄は言葉の通じる外国と 思うこと、地域の祭りや行事には積極的に参加してほしい。
 移住者から見た感想等
・最近の移住者の態度の悪さに深い憤りを感じている。地元の人を言葉で攻撃する風潮があり、金で押し通そうとする移住者も多い。
 ・移住者の規制は必要と考える。有能な移住者の人材を活用すべきである。 
・長年、築いてきた島民の考え方や習慣を移住者に壊されてほしくない。 
・地元、移住者の双方にとってプラスになり、お互いに相乗効果がみられることが移住の理想である。

 全国における団塊世代(1947~49年生まれ)の人口は683万人に達し、このうち、2007~09年の定年退職によりリタイヤする人は、民間調査機関による と、100万人~300万人と推計されている。
また、団塊の世代が定年退職後においてセカンドライフを求めて沖縄へ移住する 者は、県内産学官グループの調査結果では、年間に1,450人(4,350人/ 3年)と推定されている。
おわりに

沖縄ブームの追い風に乗って今後とも「癒しの地」等を求めて多数の移住者が入り
込むと見込まれ、特に団塊の世代は、定年退職後の移住地として沖縄県を選択肢の一 つとして注目している。その移住者をどのように受入れるのか、どのような移住関連 ビジネスのチャンスがあるのか、移住者の豊富な経験や専門的知識を有する人材をど のように地域の活性化に生かしていくのかについては、いろいろな考え方や意見があ ると思われる。








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